所長からごあいさつ

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あらゆる知的創作は、個人としての創作者の知的活動によってのみならず、歴史的・地理的背景をもとにして生み出されていることから創作者の属するコミュニティの存在も無視することができません。その者が属するコミュニティの歴史的・地理的背景のもとでこそ個人創作者の知的貢献が適切に評価でき、知的創作に対する権利を認めるとともに、コミュニティが生み出し活用する知的創作に対してもまた適切な保護を与えることができるのではないでしょうか。

当研究所はこうした理解のもとで、あるべき知的財産法制を探求しています。これまでも当研究所は文部科学省21世紀COE・グローバルCOEのもとで、知的財産法制に関する様々な課題に対して、所管官庁が主導する形での政策の検討やその形成とは独立して、アカデミズムの立場から研究・考察を行う組織として活動してきました。その研究成果は紀要『季刊 企業と法創造』、『別冊NBL 知財年報』(商事法務)『年報知的財産法』(日本評論社)など書籍・論文のみならず、無料公開のシンポジウム・セミナーを通じて広く社会に公開してまいりました。こうした研究活動を通じて、諸外国の研究機関や裁判所、法曹との人的な国際的ネットワークや、世界的レベルでの紛争処理・判例の検索システム(欧州・アジア諸国の知財判例英訳判例データベース)を構築しています。

文部科学省21世紀COE・グローバルCOEプロジェクトの終了後、厳しさを増す社会経済環境を反映し研究環境もまた厳しさを増しているなかではございますが、様々なお支えをいただきつつ、無料公開のシンポジウム・セミナー等の実施を通じて、研究活動を継続しております。今後も、当研究所は研究活動を通じて、あるべき知的財産法制の実現への貢献により、社会への貢献を果たすことを目指してまいります。皆様のご理解、ご支援を賜りますよう心よりお願い申し上げます。

早稲田大学知的財産法制研究所 所長

高林 龍