RCLIP第27回研究会

これからの特許庁間の審査協力と企業の国際特許戦略

【日時】2009年4月13日 18:30~20:30

【場所】早稲田大学早稲田キャンパス8号館3階会議室

【テーマ】「これからの特許庁間の審査協力と企業の国際特許戦略」

【報告者】高倉成男(弁理士・鈴榮特許綜合事務所)

【要旨】  世界各国の知的財産制度は、適切な保護レベルで調和していることが望ましい。そのためには、各国の国内法を規律する国際法の制定が必要である――。こうした考えに立って、日米欧は、1980年代後半からマルチの条約づくりを進め、その努力は、TRIPS協定、特許法条約、著作権等に関する新条約として結実した。  ところが、皮肉なことに、知財制度の重要性が各国によって強く認識されればされるほど、マルチの条約交渉は、前に進めるのが難しくなってきた。実体特許法条約交渉は、長く膠着状態にある。その一方、外国特許の取得コスト、特許庁の出願滞貨、不正商品等による損害、訴訟リスクなど、解決すべき国際問題はいぜんとして多い。  このような状況下にあって、近年、主要国では、二国間・複数国間の相互利益を基調とする実務協力(審査結果の交換等)の推進、および現行法を前提とするエンフォースメント(裁判、水際等)の充実に向けた取り組みが加速化している。  本報告では、特許分野を中心に、こうした最近の動向を概観し、わが国としてバイ・プルリ・マルチの交渉をどのようにハンドリングしていくのがいいのか考える。また、新しい特許審査協力スキーム下における出願人の国際特許戦略の多様化についても考える。