RCLIP第29回研究会

追及権の世界的拡大とその背景

【日時】2010年1月29日 18:30~20:30

【場所】早稲田大学早稲田キャンパス8号館3階大会議室

【テーマ】追及権の世界的拡大とその背景

【報告者】小川明子(早稲田大学法研グローバルCOE助手)

【要旨】  追及権は、1920年にフランスで創設されて以来世界に広がっている。2006年1月1日を期限として、EU加盟15カ国(当時)に追及権制度を保有することが義務付けられ、その後、EUの規模の拡大もあって、2009年現在54カ国へと拡大を続けている。アフリカ、中南米でも古くから追及権制度を持つ国々があるが、最近では、インド、豪州にも法制度が作られている。一方で、米国においては、ベルヌ条約への加盟の際に、連邦法への追及権導入の議論が行われたが、現実には、時期尚早であるとされた経緯があり、以来追及権の導入については検討されていない。唯一カリフォルニア州には、州法としての追及権があるのみである。わが国では未だ導入の検討の俎上にさえのぼることはなかったが、2009年6月19日の著作権法の一部改正によって、にわかに注目を集め始めている。  本報告では、追及権に係るEU指令を概観するとともに、わが国における追及権導入の可能性について検討する。