第38回RCLIP研究会 

アメリカ著作権法における終了権制度とは何か

http://www.rclip.jp/movie/20141003.html
【日時】2014年10月3日 18:30~20:00

【会場】大隈小講堂

〔報告者〕安藤和宏(東洋大学法学部准教授)

〔概要〕アメリカ著作権法には終了権という制度が規定されている。この制度の下では、著作者が第三者に対して著作権を譲渡したり、ライセンスを付与したりしても、35年が経過すれば、著作者が契約相手に対して終了権を行使することできるため、権利行使により、著作権は著作者に戻ってくる。

終了権制度の法目的は、著作者やその家族に著作物の価値に見合う正当な 報酬を受け取る2回目の機会を与えるというものである。一般的に、著作者は交渉力が弱いため、経済的に不利な条件で契約を締結することが多い。また、作品の価値は市場が決定するため、作品が市場に出る前にその価値を判断することは不可能である。連邦議会は、このような著作物の実際の価値よりも低い報酬しか受け取ることができない著作者を保護すべきであると考え、著作者に終了権という強力な権利を与えた。いわば温情主義的観点から、著作権法に終了権という権利を創設したのである。

 本研究会では、日本ではあまり知られていない終了権制度を紹介すると共に、アメリカにおける終了権制度の評価や実態に関する分析を通して、日本法への導入の可能性について考察する。