知的財産法制国際セミナー  

知的財産と情報の保護をめぐる国際的動向

【日時】2014年12月6日 13:00~18:30

【会場】3号館 401教室

第一部 【現代の著作権制度における5本の柱】

〔基調講演〕アドルフ ディーツ(マックスプランク知的財産法研究所)

〔コメント〕斎藤博(新潟大学名誉教授)

〔司会〕  上野達弘(早稲田大学法学学術院教授)

〔概要〕現代の著作権制度は、①著作者の権利に関する法、②著作隣接権に関する法、③著作権契約に関する法、④権利管理団体に関する法、⑤権利執行に関する法、という5つのサブシステムからなるものと理解できる。創作に関わる人間の権利ないし利益が適切に保護されるためには、こうした5つのサブシステムのすべてが、著作権制度における“5本の柱”として、バランスよく協働していなければならない。

   本講演において、ディーツ教授は、現代の著作権制度を大局的に論じた上で、とりわけ、権利管理団体の文化的役割について考察すると共に、著作権契約法に関する最新のドイツ判例(連邦憲法裁判所2013年10月23日判決)を中心として2007年改正後の状況について解説する。さらに、著作権法に関して近時極めて多数(直近1年間で10件以上)の判決を出して注目されている欧州司法裁判所の最新動向についても、可能な限り触れる。

第二部 【営業秘密保護法制の再構成】

〔基調講演〕シャロン K. サンディーン(ハムリン大学教授)

      髙部眞規子(福井地方裁判所・家庭裁判所長)

      田村善之(北海道大学大学院教授)

〔コメント〕足立勝(日本コカ・コーラ株式会社 法務部 ディレクター&シニアリーガルカウンセル)

      西田雅俊(富士通株式会社 法務・コンプライアンス・知的財産本部 知的財産イノベーション統括部 統括部長)

〔司会〕  クリストフ ラードマッハ(早稲田大学法学学術院准教授)

〔概要〕営業秘密の保護をめぐっては、わが国でも、1990年代に不正競争防止法による立法的対応がなされて以降、その拡充が図られてきた。その結果、わが国における営業秘密の保護は、米国に次いで世界で2番目に強力なものと評価されるに至っている。にもかかわらず、日本企業は、営業秘密の保護に関して、とりわけ元従業員との関係において困難な問題に直面することが少なくない。そのため、いかにして営業秘密の法的保護を実現するかが、喫緊の課題となっている。

   本シンポジウムでは、米国における営業秘密保護法の第一人者であるサンディーン教授に同国における営業秘密保護法制の最新動向についてご講演いただいくと共に、田村善之教授および髙部眞規子判事にわが国における諸課題について論じていただいた上で、営業秘密保護法と密接に関連する日米の企業実務家にコメントしていただく。