🔭日欧EPA発効でワイン三昧(張睿暎)

 

日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)が2019年2月1日午前0時に発効した[1]。世界GDPの27.8%、世界貿易の36.9%(2017年基準)を占める大型協定で、EU側が約99%品目、日本側が約94%品目で関税をなくすものである。

日欧EPAには関税撤廃に加えて、電子商取引、データ流通や知的財産保護など幅広い分野のルールも盛り込まれている。予てからFTA/EPA/TPPにおける知的財産関連条項について研究してきた者として、今回の日欧EPAの発効は研究の面でも重要であるが、実をいうと、個人的には欧州産ワインへの関税即時撤廃の方が重要なポイントだったりする[2]。

私はvivino[3]というワインアプリを愛用していて、ワインボトルのラベルをスマホでスキャンすると出てくる当該ワインの星評価や価格情報を参考にしている。残念ながら日本で販売されているワインの多くは世界各地の平均価格より高いため、ワインはもっと安くならないのかなと日欧EPAの発効を待ちに待っていた[4]。

EUから輸入するワインには今まで、1リットル当たり125円または価格の15%のうち安い方が関税として課されていた。EPA発効で欧州産ワインは関税が即時撤廃されるため、750mlのボトル1本あたり最大93円、スパークリングワインは最大136円50銭の関税がかからなくなる。

これを受けて、大手スーパーのイオンは関税撤廃に伴って日欧EPAの発効日当日である2月1日から、最大330種類の欧州産ワインを平均で1割値下げした。取り扱う商品の半分強は1000円前後で、値下げ分は数十円から200円前後となる。セブン&アイ・ホールディングスも1日、欧州から輸入するプライベートブランド(PB)のワイン3品を値下げした。PBワインの値下げは初めてだという[5]。高級スーパーの成城石井も1日から欧州産ワイン112種類を値下げしたほか、オリーブや生ハム、チーズの一部商品で価格を見直した。そごうと西武も1日から、欧州のワインやチーズを1~2割安く売るフェアを始めた[6]。定期的に欧州産ワインを購入する消費者のお財布にやさしい値下げである。

さらに、今年の4月からはチリ産ワインへの関税もなくなる。2007年に締結された日チリEPA[7]によりチリ産ワインの関税が段階的に下がり、2016年には5.8%かかっていた関税が2019年には完全ゼロになるのである[8]。

チリワインも、フランスワインも、イタリアワインも、スペインワインも、さらに安く飲める2019年は、どうやらワイン三昧の年になりそうである。

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[1] 外務省ウェブサイト>日EU経済連携協定(EPA)https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/page6_000042.html (最終訪問日2019.2.20. 以下同様)

[2] TPPでは対象外だったカマンベールなどのソフトチーズに低関税の輸入枠を設けることになったこともうれしい。日本は発効から15年かけて徐々に関税をなくすので、まだまだ待たないといけないが。。。

[3] 2019年2月20日現在、1000万以上のワイン情報、1億1794万件の星評価と3400万人以上の登録ユーザがあるサービスである。https://www.vivino.com/about

[4] 2011年7月1に暫定発効(全体発効は2015年12月13日)した韓EU FTAでも、ワイン関税15%の即時撤廃、チーズ関税36%の15年間にわたる段階的撤廃を内容とする合意をしている。韓国消費者院の「韓EU FTA発効による消費者価格動向分析」(2011年12月)20-21頁によると、ワインの販売価格は韓EU FTA発効後に平均4.63%下がった。原産地別では、フランス(-6.51%)、スペイン(-5.46%)、イタリア(-4.79%)、ドイツ(-1.75%)の順に値下がりした。

[5] 「日欧EPA発効、ワイン・生ハム続々値下げ 売り場でアピール」(2019年2月1日付日本経済新聞記事)https://www.nikkei.com/article/DGXMZO40762710R00C19A2HE6A00/

[6] 「ワイン、チーズ、生ハム…値下げ続々 日欧EPA発効で」(2019年2月1日付朝日新聞記事)https://www.asahi.com/articles/ASM214G0LM21ULFA00W.html

[7] 外務省ウェブサイト>日・チリ経済連携協定https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/fta/j_chile/index.html

[8] 1990年代は1~5%ほどだったチリ産ワインのシェアは、2007年9月3日の日チリEPA発効後に輸入量が右肩上がりに増え、2015年には日本でワイン輸入量第1位になり、2017年は輸入ワインシェアの31%を占めている。「日本で人気がとまらないチリワインの特長とは」(2018.9.11)http://www.sapporobeer.jp/wine/wine_opener/article/chilean_wines/
ちなみに、韓チリFTAは2004年4月1日に発効し、15%だったワイン関税は2.5%ずつ引き下げられ、2009年にはゼロになった。2003年韓国ワイン市場における占有率が7%にとどまったチリ産ワインは、2008年には18%まで上がっている。

—- <張睿暎>—-