知的財産法制研究所の招聘研究員として、また起業家として、特許ライセンスや技術移転を研究してきた私は、現在、日欧産業協力センター(EU-Japan Centre for Industrial Cooperation)の「日本技術移転ヘルプデスク(Japan Technology Transfer Helpdesk)」の立上げに、プロジェクトマネージャーとして携わっている。
 日欧産業協力センターは、日欧間の産業協力を深めていくべきという経済産業省と欧州委員会の共通の認識のもとで、日本・EU間の産業協力を担う中核的組織として1987年に設立された。東京とブラッセルに事務所があり、受入研修事業(HRTP)、日・EUビジネス・ラウンドテーブルなどの数多くの事業を実施するなど、日欧間の産業協力の中核となっている。
この度、日欧産業協力センターで立上げる「日本技術移転ヘルプデスク」は、優れた技術を保有する日本の公的研究機関や大学と、日本の技術を求める欧州の企業とをつなぐゲートウェイを確立する国際的規模のユニークなプロジェクトである。
 「日本技術移転ヘルプデスク」は、日本の大学や研究センターが保有している利用可能な技術をショーケース化し、欧州企業がこれを検索してライセンスを受けられるようにするオンラインポータルとして機能する。ヘルプデスクは、①技術のショーケース、②特許事務所/法律事務所のデータベース、③知的財産および技術移転に関するセミナーやウェビナーの団体、④日本の大学や研究センターからの技術ライセンスや連携に関心のある欧州中小企業のための支援、のサービスから構成される。サービスは無料であり、セミナーなど一部サービスはオフラインでも提供される予定である。
 9月から欧州の中小企業向けにアンケートを実施し、希望する技術を調査しており、これから日本側が保有している技術を揃えていく。すでに日本の著名な特許事務所/法律事務所が参加を決定しており、外国企業や個人が技術ライセンスを受けられるように、また日本の研究機関や大学がライセンスできるようにサポートする予定である。
2015年12月には、事前モニター(大学、研究センター、法律事務所など)を対象に、ウェブサイトの正式開始前のα版をリリースする。2015年1月には、「日本技術移転ヘルプデスク」が正式に始まる予定なので、たくさんのご声援をお願いしたい。

(知的財産法制研究所 招聘研究員 エスコフィエ ルカ)