グローバル特許権行使戦略セミナー
米国特許法改正及びEU知的財産権行使指令の影響と日本企業戦略トレンド |
【日時】2012年6月30日 13:30~18:10
【場所】早稲田大学早稲田キャンパス 小野記念講堂 米国改正特許法(America Invents Act)は、特許不実施企業(いわゆるパテントトロール)対策として、USPTOにおける複数の付与後異議申立制度を導入すると共に、連邦地裁における特許権行使手続においても各種の変革をもたらしました。一方、ドイツ裁判所は迅速且つ信頼性の高い侵害判断で知られ、欧州のみならず米国特許権者によって戦略的に利用されています。特に、特許無効の抗弁を許さず広いクレーム解釈を行うことによって特許権者有利なフォーラムとして知られ、一旦侵害と判断されると、特許権者による特許の実施の有無に拘わらず、差止命令が執行されます。 本セミナーでは、米国における特許訴訟に関する各種情報のデータベースを構築したスタンフォード大学のマーク・レムリー教授に基調講演をお願いし、改正前特許法における特許訴訟制度の統計的分析及び改正法が与える影響について講演して頂きます。その後、訴訟経験豊かな米国及びドイツの弁護士並びに国際訴訟を経験した日本企業の弁理士によるパネルディスカッションを通して、米国及びドイツ裁判所における権利行使の長短を検討し、国際的フォーラムショッピング等、日本企業のための特許権侵害訴訟における攻撃防御の戦略を考察します。 先日の日本工業所有権法学会でも非常に高い関心が集まった マーク・レムリー(Mark A. Lemley)スタンフォード大学教授による基調講演の概要 マーク・レムリー教授による基調講演の前半部分では、米国特許法の一般的原則と、技術分野ごとに特有なその適用との間の相違が論じられる。米国特許法は、多種多様な技術を規制する法的規則の集合体となっており、少数の例外を除いて、法的基準の設定および適用において種々の技術を区別するものではない。しかしながら、技術は決して一様でなく、様々なセクターにわたって非常に多様な特徴を示している。数多くの事例により実証されているように、産業界の技術革新がどのように進んでいくかには業界ごとに深い構造的な違いがあり、研究開発(R&D)の速度およびコスト、発明を他者が模倣し得る容易さ、独立形態の開発ではなく累積的又は相互運用可能なイノベーションの必要性、特許が製品全体を扱うのかそれとも単に製品の構成要素だけを扱うのかといった様々な点で、業界ごとに状況が異なっている。レムリー教授には、単一の特許制度がなぜ、それが対象とする広範で多種多様な産業界においてイノベーションを最適に促進しない可能性が高いのか、また特許法がその適用において、実質的に技術ごとに特定なものになって行った過程について解説いただく。 基調演説の後半では、特許の施行における現代の手法に話題を移し、米国のどこで特許を行使するべきかの意思決定に訴訟データがどのように影響を及ぼすかについて論じていただく。レムリー教授は、米国の特許訴訟データベースとして名高いスタンフォード大学知的財産訴訟データベースのデータに基づいて、米国で最も動きが活発な33箇所の特許地方裁判所および国際貿易委員会(ITC)の記録を分析しており、原告勝訴率、審判に移行する可能性、および法廷の速度を考慮して、どこが米国特許を行使する最良の法廷であり得るかについて、驚くべき解答をうち立てている。 【プログラム】 13:30 開会の辞 深澤良彰(早稲田大学理事・重点領域研究機構長) <第1部> 13:35 基調講演 Mark Lemley (Professor of Law, Stanford Law School) 「米国特許権行使制度:統計的データからの分析」 14:20 パネルディスカッション「 訴訟提起準備に関する争点」 (警告状、証拠入手手続, フォーラムショッピング等) 司会: Christoph Rademacher (早稲田大学高等研究所助教) パネリスト: Paul Meiklejohn (Partner, Dorsey & Whitney, Seattle, USA) Tilman Muller-Stoy (Partner, Bardehle Pagenberg, Munich, Germany) Felix R. Einsel (Partner, Sonderhoff & Einsel, Tokyo) Mark Lemley (Professor of Law, Stanford Law School) 15:30 質疑応答 15:45 休憩 <第2部> 16:00 基調講演 遠藤嘉浩 (本田技研工業(株)ブランド・知財企画室) 「日本企業特許世界戦略のトレンド」 16:30 パネルディスカッション「 特許無効の主張と抗弁」 (米国改正法による新たな付与後異議制度等の活用、 無効抗弁が認められないドイツの訴訟制度の長短等) 司会:竹中俊子(Professor of Law, University of Washington Law School) パネリスト: Jan Krauss (Partner, Boehmert & Boehmert, Munich, Germany) Christof Karl (Partner, Bardehle Pagenberg, Munich, Germany) Douglas F. Stewart (Partner, Dorsey & Whitney LLP) 萩原弘之 (Partner, Ropes & Gray, Tokyo) 遠藤嘉浩 (本田技研工業(株)ブランド・知財企画室) 17:45 質疑応答 18:00 閉会の辞 高林 龍(早稲田大学法学学術院教授) 18:30 懇親会 レストラン「西北の風」 (参加費:セミナーは無料、懇親会は会費4000円) (同時通訳有(日本語・英語)) |